ここだけは押さえよう!相続税法改正
平成23年度税制改正大綱が発表されました。
現在、想定されている税制改正でこれまでよりも多くの方に影響を与えることが予想されます。
特に、改正により多くの方に直接的な影響を与えると予想されるのは以下の2点です。
なお、平成23年度は税制改正大綱どおりに成立していません。平成24年度税制改正についても同様に実施は見送られましたが、社会保障と税の一体改革案の中で相続税改正に関する内容が盛り込まれました。法案が通るかは不透明な状況が続いていますが、一体改革案が成立した場合は平成27年1月1日以後の相続から適用になります。
相続税の課税が今後強化される方向性は変わらないことが予想されるため、改正前に適切な相続税対策を行うことをおすすめします。
相続税の主な改正点
1)相続税の基礎控除額40%縮小!
相続税の基礎控除額の算出方法が以下のように変更されます。
〇現 行)5,000万円+1,000万円×相続人
〇改正案)3,000万円+600万円×相続人
例えば、相続人が一人だと仮定した場合、現行では遺産総額が6,000万円を
超えると課税対象となっていましたが、改正案では遺産総額が3,600万円を
超えた場合に課税対象となります。
したがって、相続税の課税対象者が大幅に増えることになり、その数はこれまでの2倍とまで言われています。
課税対象額を小さくする対策として、以下のようなものが考えられます。
①被相続人が亡くなる以前から同居し、そのまま自宅を引き継ぐことで、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受ける
②被相続人が居住している自宅を亡くなる以前に売却してマンションに買い換えることで不動産評価額(相続評価額)を圧縮する
これらはいくつも考えられうる対応策の一部にすぎません。
相続対策は税制はもちろんのこと、家族・財産・社会などの様々な状況を
考慮した上で最もベストな方法を取捨選択していく必要があります。
したがって、まずは相続の専門家に相談することが賢明でしょう。
2)贈与税の条件緩和で生前贈与促進!
贈与税(暦年課税)については以下のように見直しが行われる予定です。
①相続時精算課税の条件緩和
贈与税の課税制度には「暦年課税」と「相続時精算課税」の二種類があります。
後者は、被相続人が生前贈与する財産に対して課税される贈与税を予め納めることで、
被相続人が亡くなった場合の相続税額からすでに納めた贈与税額を控除する制度です。
税制改正により、相続時精算課税制度の適用対象者の年齢制限が65歳から60歳に引き下げられ、
贈与を受けられる者として20歳以上の孫が追加される予定です。
②直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
住宅を新築・購入・増改築することを目的とした資金(住宅取得等資金)を贈与された場合、その資金のうち一定金額については贈与税が非課税となります。
③贈与税率の緩和
20歳以上の者が直系尊属から贈与を受ける場合に限り、以下のように贈与税率が緩和されます。
●現行
基礎控除後の課税価格 | 課税率 |
---|---|
~200万円以下 | 10% |
200万円超~300万円 | 15% |
300万円超~400万円 | 20% |
400万円超~600万円 | 30% |
600万円超~1,000万円 | 40% |
1,000万円超~ | 50% |
●改正案
基礎控除後の課税価格 | 課税率 |
---|---|
~200万円 | 10% |
200万円超~400万円 | 15% |
400万円超~600万円 | 20% |
600万円超~1,000万円 | 30% |
1,000万円超~1,500万円 | 40% |
1,500万円超~3,000万円 | 45% |
3,000万円超~4,500万円 | 50% |
4,500万円超~ | 55% |
贈与を有効活用する方法として、以下のようなものが考えられます。
①被相続人が居住していた土地を生前に売却したことで得られた資金を土地購入資金として相続人に贈与することで「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」の適用を受ける
②「小規模宅地等の特例」を適用して土地評価額を下げることで課税対象額を圧縮する
平成22年以前は「小規模宅地等の特例」が簡単に使えましたが、
平成22年の税制改正で大幅に適用が制限されています。
このように、積極的に生前贈与を活用することで相続税対策となるケースは少なくありません。
まずは相続の専門家と一緒にシミュレーションをしてみましょう!
当事務所では税金の専門家である税理士と連携して相続税に関するご提案やサポートをさせていただいておりますので、安心してご相談下さい。